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HEMS(ヘムス)とは?実例データでみるHEMS

みなさまHEMS(ヘムス)という言葉を聞いたことありますでしょうか?
聞いたことあるけどどういったシステムかわからない、エネルギーの「見える化」って何?そもそも必要なの?暮らしがどう便利になるの?
こちらの記事ではそんなみなさまの疑問にお答えします!

HEMS(ヘムス)とは、「Home Energy Management System(ホームエネルギーマネジメントシステム)」の略でこのスペルの頭文字をとってHEMS(ヘムス)と呼ばれています。
政府は、HEMSを2030年までにすべての住まいに標準設置することを目指すと2012年グリーン政策大綱にて掲げています。

また、このHEMSを用いて家庭の設備や家電を制御・コントロールする住宅のことを「スマートハウス」といい、最近では太陽光発電や蓄電池・エコキュートなどを天候の状況によって売電・蓄電・お湯を沸かすタイミングまで自動制御してくれます。このスマートハウスは東日本大震災以降注目され、急速に普及しつつあります。
セキスイハイムでは「スマートハイムナビ」という名称で呼ばれています。「スマートハイムナビ」は「2021年度省エネ大賞」の製品・ビジネスモデル部門において「省エネルギーセンター会長賞」も受賞しています。

HEMSを支えるスマートメーター

このHEMSを使用するのに欠かせないのが「スマートメーター」の存在です。
スマートメーターとは、電気の使用量をデジタルで計測し、通信機能を併せ持つ電力量計です。
今までは電力会社の検針員が一邸一邸回って電気の使用量をチェックしていました。
しかしスマートメーターの普及により、消費電力量を検針員が訪問せずとも直接電力会社へ送信することが可能になりました。
また電力データはクラウドサーバーに集積し、分析・コンサルティングにも活用されます。自宅の電力使用量を去年の実績と比較するも可能です。(セキスイハイムの場合)

HEMS(ヘムス)ってどんなことができるの?導入のメリットは?

HEMSでできることは大きく3つです。

  • エネルギーの見える化により、節電がしやすくなる
  • 設備機器が自動制御できるようになる
  • 家電や設備機器が遠隔操作できるようになり、生活の質が向上する

それぞれのポイントについて、セキスイハイム東海で働く社員の実邸データをもとに詳しく解説します。

今回ご紹介する社員邸データ
導入機器
  • HEMS:スマートハイムナビ
  • 太陽光発電システム:京セラ製4.57kW搭載
  • 蓄電池:ニチコン製トライブリッド蓄電池4.0kW搭載
  • オール電化
  • 空気工房搭載
  • エアコン:LDK・寝室2台
  • エコキュート:積水ホームテクノ製370リットル
家族構成
  • 夫婦2名のみ
  • 共働き
  • 夫婦ともに社員
  • 水・木が仕事休み
  • 2021年10月入居
データ提供者

セキスイハイム東海株式会社
営業企画グループ所属大城 孝裕

1.エネルギーの見える化により、節電がしやすくなる

HEMS導入による最大のメリットはなんといっても「エネルギーの消費量を見ることができるため、意識的に確認し、節電へつなげることができる点」です。
家庭内で使用している家電、設備機器などの電気の使用量(消費電力)や稼働状況を専用のモニターやお手持ちのスマートフォンで「見える化」することができます。
日常生活における自宅での電気の使い方がわかるだけでなく、改善のヒントまでサポートしてくれるのでエネルギーを効率的に活用できます。

HEMSを導入すると左図のように電気の使用量を1時間単位で管理することも可能です。
ただし、ずっと見ていて今使いすぎている!というのは現実的ではありません。
そんな人向けに右図のように使いすぎチェック機能があります。
今までの平均と比べいつもより使いすぎているか省エネかを時間帯で表示してくれます。
お昼休憩やふとした合間にチェックしていつもより使いすぎているようであればどこかに無駄が隠れている証拠です。
これを使うことで「つけっぱなしになっているエアコン」や「消し忘れの照明」を撲滅できるはず!?
社員の実例を使って、さらに具体的に活用方法をご紹介します。

【社員の活用実例】機器ごとの電気料金の内訳をチェックして節約対策を実施

例えば、暑い夏場や寒い冬場についついエアコンを使いすぎちゃうなというご家庭もあるのではないでしょうか。それぞれの季節にどのくらいエアコンにお金がかかっているのだろう?ということがわかれば節電の意識が高まります。
1時間ごとや日別の比較も可能なので冬場の設定温度を28℃から26℃に変更することでどの程度電気代が節約できるかなども把握することができるようになります。

※左図は2/17(木)の社員邸の実データです。(この冬で1番電気料金の高かった日)
・エアコンはLDKで「快適AIおまかせ運転」で使用
・新空気工房は「24時間換気及び加温運転弱」で使用
・和室でこたつを使用

【社員の活用実例】「売電―買電」の収支計算を日々チェック!

太陽光発電を搭載しているご家庭の場合は、「売電―買電」の収支計算も見ることができます
こういった画面で電力の自給自足状況を日々チェックすることで、節電の意識が高まります。

収支計算はグラフで管理することも可能です。
日別の収支を確認することもできますし、1カ月ごとの比較、去年と比べたデータとの比較なども可能です。
消費電力と合わせて意識することでより光熱費の削減しいては光熱費収入を得ることも可能です。

また専用アプリで目標値設定や目標値に対し、電力消費が多い場合にスマホへ通知を送ることもできます。

2.設備機器が自動制御できるようになる

今までのエコキュートは安い深夜の電力を利用して日々のお湯の必要量を最適化しながらお湯を炊き上げるものが一般的でした。
これが、HEMSを導入することにより、その時々の状況に応じた設備の運用が可能となります。

【社員の活用実例】天気予報を活用

天気予報によって晴天時の昼間の発電電力を使うか、夜間に電力会社から購入した電力を使うか自動的に判断し、お湯を炊き上げます。

【社員の活用実例】豪雨や台風などの気象警報の活用

台風や暴風などの警報が発令されると、蓄電池が停電に備えて自動で充電を開始し、エコキュートが自動で炊き上げを開始します。万が一の際の電力・給湯利用もさらに安心です。

3.家電や設備機器が遠隔操作できるようになり、生活の質が向上する

HEMSを使って家電や設備機器をネットワークにつなげば、屋外からスマホを使ってお風呂の給湯をしたり、宅配ボックスに荷物が届くとそれを通知したりすることも可能です。

【社員の活用実例】外出中に遠隔操作で、帰宅と同時に快適環境を実現

HEMSと連携可能な設備機器を採用することでお手持ちのスマートフォンやタブレットから、設備機器や家電製品を遠隔操作することが可能になります。
外にいながら、帰宅時間にあわせてエアコンや給湯器を稼働させておけば、帰宅と同時に最適な環境で過ごすことができるようになります。

例えばエコキュートに関しては、スマホから遠隔で給湯操作もできるため、台所や浴室のリモコンまで行かなくても給湯可能。めんどくさがり屋さんにはもってこいの機能です。
さらにプラスで位置情報と連動した自動給湯機能もあります。
これを設定しておくと自宅半径○○m以内に入るとスマホにプッシュ通知を送りそこから給湯をスタートさせることも可能です。
帰宅してまずお風呂という生活スタイルの方には非常に有効です。

【社員の活用実例】宅配ボックスに荷物が届いたことをスマホ通知で把握

宅配ボックスと連携して荷物の着荷や取り忘れのお知らせなどもHEMSで制御できます。
宅配ボックスに荷物が届いたことを通知させる設定。外にいても荷物が届いたことをスマホへプッシュ通知してくれます。

ただしこれだけだと実際に帰った時間までに忘れてしまうこともありますし、また暗い時間だと宅配ボックスに荷物が届いているか目視しにくいため、GPSと連動させ家の近くになったら再度通知をしてくれるように設定し、取り忘れを防止しています。

その他にもたくさんの場面で活用可能!

窓に施解錠の開閉センサーを設置することで、窓の戸締まり確認や電気錠との連携で玄関ドアの施錠についても遠隔で操作可能になるなど、防犯面にも活用可能です。
例えば、玄関の締め忘れを確認し、締め忘れがあった場合は遠隔操作で施錠できます。

その他にも…

  • AIスピーカーを利用して照明のON・OFFや明るさの変更
  • エアコンの温度調整なども音声で操作
  • エアコンを遠隔操作し、帰宅前に冷暖房をONにして帰ってすぐ快適に
  • 食洗機、洗濯機、炊飯器などを電気代の安い時間に運転させることで光熱費の削減

これ以外にもメーカー特有の空調システムや床暖房などの管理もできますし、今後連携できる機器も増えていくことが想定されます。「時短・便利」「快適」「安心」とさまざまな角度から生活の質の向上が可能です。

HEMS(ヘムス)導入のデメリットってないの?注意点は?

さてここまではHEMSを導入することのメリットをお伝えしてきました。
しかしその一方でデメリットも存在します。
導入するにあたり、その点も把握したうえで検討しましょう。

費用対効果がわかりにくい

HEMSを導入するには費用がかかります。
専用機器とそれに連携させるための配線工事も必要になり、

「おおよそ20-30万円程度」

の費用が必要になります。
また、HEMSと連携して利用できる家電製品や設備機器の導入費用をどう見るかも問題です。太陽光発電や蓄電池の搭載費用、エコキュートや施錠連動できるインターホン、エアコンや宅配ボックスなどそれらの機器をプラスして費用対効果を見るのか、HEMSがなくても導入する予定の設備としてその費用に追加しないかによっても見方が変わってきます。
これらを「見える化」することでどれだけの節約効果があるのか検証が非常に難しいところです。

すべての家電や設備機器が連携できるわけではない

HEMSを導入することでさまざまなところで生活を便利にできることは前述しました。
また連携できる機器についても多種多様になりつつありますが、下記の点にまだ課題があるといえます。

  • 連携できる機器がまだまだ多くない
  • HEMS機器メーカーにより連携できる機器が違う
  • 住宅メーカーによっては基本どのメーカーのHEMS機器を採用するかが決まっている

3つ目の住宅メーカーによる点は大手メーカーであればあるほどその要素が強い傾向にあります。この点はデメリットともいえますが、その一方でメーカー独自の設備機器を連携できるよう開発されていたり、提携することで安く採用できたりというメリットもあるため、一概にデメリットとは言い切れない点でもあります。

結局HEMS(ヘムス)は必要なの?

まだまだ発展途上であるHEMSですが、最初にもあげたように2030年までには全世帯に導入していこうという国の基本方針があります。
今後デメリットにあげたような接続機器の種類も増加していくと思われますし、節電のためのコンサル機能についても充実していくと予想されます。
これからますます注目されるシステムになっていくでしょう。

また、太陽光発電システムによる電気の固定買取価格の減少から見ても蓄電池の普及と合わせ、電気を売って儲ける時代から「エネルギーを見える化し、効率的に運用することでエネルギーの自給自足をしていく時代」に移りつつあります。
その一翼を担うHEMSは地球にも家計にも優しい「新時代の必須アイテム」であるといえるでしょう。