コロナ禍を経て、トレンドとなった玄関手洗い。
一時の流行で終わらず、選択肢のひとつとして新築時に採用される方もいらっしゃいます。
今回は、子育て世代に向けて、玄関手洗いを取り入れるメリットとデメリット、設置のポイントをお伝えします。 玄関手洗いのある暮らしを想像してみましょう。
玄関手洗いとは

帰宅時の手洗いのために設置される玄関手洗い。
玄関土間への設置や、玄関ホール、シューズインクローク内など設置場所は様々ですが、玄関付近に設置される洗面を指します。
「おかえり手洗い」「ただいま手洗い」などと呼ばれることもあります。
玄関手洗いのメリット
衛生面の向上
子どもが外でたくさん遊んで帰ってきても、帰宅してすぐに手洗いができるため、家の中に汚れを持ち込まずに済みます。
大人も、電車のつり革やエレベーターのボタンなど、不特定多数が触れた場所に触れた後などは、室内に入る前に手を洗いたくなりますよね。さらに、室内の照明スイッチやドアノブに触れる前に手を洗うことができるので、衛生的です。
ただし、手を洗ってもすぐにスマホをいじったりすると、あまり意味がないので、清潔にとことんこだわりたい方は、手と一緒にスマホも消毒しましょう。
手洗いの習慣づけ
帰宅時の動線内に洗面があるので、必然的に洗面が視界に入ります。
そのため「帰宅→手洗い→部屋に入る」といった一連の流れが作りやすく、帰宅時の手洗い習慣づけがしやすくなります。
プライバシー配慮
洗面が玄関付近にあると、子どものお友だちや来客も気軽に使うことができます。
洗面脱衣室は、プライベートな空間であり、雑多になりがちです。玄関手洗いでは、そういった生活空間と来客動線を隔てることができ、家族にも来客にもメリットとなります。
混雑の緩和
家族が多い場合や朝の支度の時間が被る場合、トイレや洗面台などの水まわりが混雑しがちです。
玄関手洗いをサブ洗面として使うことで混雑を避けることができます。毎日のことなので、小さなストレスを軽減することが暮らしやすさに繋がります。
玄関手洗いのデメリット
余計に費用がかかる
設置する洗面のサイズに合わせたスペースの確保が必要となります。
「居室に充てるスペースをなるべく広くしたい」や「玄関付近に収納を設けたい」など、他のスペースの希望と合わせて考えましょう。
当然設置するスペースにかかる費用と、洗面台そのものの費用が必要となります。
ただし、図のように、トイレや脱衣室に近いところに配置することによって、トイレに設置する手洗いが不要になったり、玄関と洗面脱衣室にそれぞれ洗面台を設置するのではなく、玄関手洗いと洗面脱衣室の手洗いを1つにまとめてしまうことができればコストも削減可能です。
メンテナンス(お掃除)に労力がかかる
水まわりは汚れやすい場所でもあるので、メンテナンスが欠かせません。
さらに、玄関は来客の目につきやすい場所でもあります。特に小さな子どもがいる場合、水はねが気になるご家庭も多いかと思います。
家の顔とも言われる玄関。
放っておくと水垢やカビの原因になるため、綺麗な状態をキープすることが負担にならないか考えてみましょう。
あまり小さなボウルを選ぶと使わなくなる恐れも・・・
玄関に専用の洗面台を用意する場合、小さなスペースで設置することも多くなります。
その場合に、水を受け止めるボウルを小さな物にしてしまうと、水撥ねが気になりとても手が洗いにくいと感じ、結局使わない!なんてことも起こります。
トイレの手洗いなんかもボウルが小さいので結局大きな洗面台で手を洗っている人もいるのではないでしょうか?小さなボウルでおしゃれな商品もたくさんありますが、設置する場合は手を洗うイメージをしながら使い勝手も考えると良いでしょう。

玄関手洗いの選び方と設置場所
玄関手洗いを設置するうえで、どのような使い方をするべきかよく考えて設置場所と洗面台を選びましょう。
手洗いだけができれば十分か、身支度ができるようにするか、どのタイミングで使うのか、洗面台に置きたい電化製品やゴミ箱の置き場所なども考えておくと良いでしょう。
帰宅時の動線とあっているか

帰宅時にコートやバッグなどを仕舞ってから手洗いをする方は、収納との兼ね合いも大切です。
コートやバッグの収納が家の奥にあれば、帰宅動線を複雑にし、使いにくいものになってしまうこともあります。
また、手をせっかく洗ったのに、再びバックを持ち直し収納するとなってしまうと、手洗いの意味もなくなってしまいますね。 この場合、「帰宅→収納→手洗い」ができるように動線を整える必要があります。家族の動線に合わせた間取りにすることが大切です。
手洗いができれば十分な場合
手洗いができれば十分な場合には、小スペースで設置ができるコンパクトなタイプが向いています。
石鹸やタオル掛け、ペーパータオルを使う場合にはごみ箱の設置場所なども考慮しましょう。

身支度をできるようにする場合
身支度ができるようにする場合には、収納や鏡を設置すると便利です。
水栓が混合水栓にするか、センサー付きのものにするかどうかも使い勝手に関わってきます。
混合水栓とは、水とお湯が出る水栓のことです。
通常混合水栓にする方が費用が掛かります。真冬に、冷たい水で顔や手を洗いたくない!という人は混合水栓がおすすめです。ただし、給湯機からの距離が遠いところに設置してしまうと、お湯が出るまでに時間がかかり、その分水を消費してしまうため、手洗いの設置位置も考える必要がでてきます。
センサー水栓もお勧めです。
汚れた手で水栓をあけた場合、水を止めるときにレバーを洗って止めるというめんどくささから解放されます。が、センサーの反応具合によってはストレスになる場合もあるので、確かめておきたいですね。

玄関すぐに設置する場合は全館空調がおすすめ
玄関すぐに、手洗いを設置し、そこで化粧や身支度をする場合には暑さ寒さを考慮しましょう。
汗だくの中、お化粧したり、寒さに震えながら歯を磨いたりはしたくないものです。
気密性断熱性が高い家はもちろん、全館空調などと併用するなどして、作業しやすい空間づくりができると良いです。とにかく、帰ってきたとにさっと手洗いをするだけという目的であれば、そこまで気にしなくても良いかもしれません。
◆合わせて読みたい◆
全館空調おススメする人・しない人、メリット・デメリット解説▸
実例紹介
セキスイハイムのオーナー様邸の実例をご紹介。どちらも子育て世代のお施主様邸です。
実例1
土間続きのシューズインクローゼットとリビングへの扉の間に洗面を設けました。来客時、玄関から直接洗面やミラーが視界に入らないように設置しています。
全体的にホワイトでコーディネート洗面は、クロスとも馴染みがよく圧迫感を感じさせません。
同じく子育て中の方が多いという奥さまのご友人が訪ねてきた時にも、好評の玄関洗面なんだとか。


実例2
玄関を入ってまずコートやジャケットを掛け、手を洗い、そのままリビングダイニングへ行けるスムーズな動線を確保。
ご家族の居場所である1階のリビングダイニングを極力広くするために、居室や浴室はすべて2階に設置されました。
奥様こだわりのタイルで設えた洗面インテリアは、SNSで見かけてひとめぼれしたものを再現。家全体の雰囲気ともマッチした洗面空間となりました。


セキスイハイムの展示場実例
最後に展示場実例の紹介です。
玄関からホールをぐるっと囲むシューズインクロークと収納スペース。そこから洗面へとアクセスできます。
洗面は1台ですが、帰宅時だけでなく、家のどこからでもアクセスしやすい場所に設置されています。玄関から浴室への動線も短いので、居室に入る前に手洗いやシャワーが済ませることのできる間取りです。
さらに来客時には、玄関ホールからLDKを通らずに和室に案内できるので、お客様がいらしている時にも家族の空間を確保することができます。




まとめ
いかがでしたでしょうか。
家族のライフスタイルに合わせ、帰宅時や起床時の動線をシミュレーションすることで、ご自身の必要な機能や優先順位がはっきりします。
このコラムが、みなさまの夢のマイホームづくりの参考になれば幸いです。
