グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ



TOP > 品質と性能TOP > 01.気密性能測定

01.気密性能測定

高気密高断熱という言葉をよく聞きますが、「気密」性能も「断熱」性能もどちらが欠けても快適な家にはなりにくく、気密性が低いと、うまく換気ができない、意図せぬ隙間から、部屋の暖かい水蒸気が漏れ出し、壁の中で冷やされ水滴となり、それが原因でカビの発生や、部材が腐るという悪影響を及ぼす危険もあります。
気密やその測定方法についてまとめてみましたので、是非家づくりの参考にしてください。

気密とは何?どうやって測定するの?基準はあるの?

1.気密性能とは

気密性能とは

気密とは気体が出入りできない状態をあらわします。気密性はC値(㎤/㎥)という数値で表現します。
単純に1㎡あたりにどの程度の隙間(㎠)があるのかを表します。

建物は、様々な部材を組み合わせて作っていきます。壁や床天井などを組み合わせて作る際に、どうしても継ぎ目に隙間が生じます。
隙間があれば、当然そこからの空気の出入りが発生します。

気密処理とはこの隙間(継ぎ目)を隙間の無いようにふさぐことを言います。
高気密とは気密性が高いことを言います。

2.気密性能の測定方法

気密性能の測定器1
気密性能の測定器2

写真のような専用の測定器で検査します。
測定器を設置した窓の周りや、各部屋の換気扇(レンジフード、トイレ、浴室等)や排水管(キッチン、洗面台、洗濯機等)など屋外と通じる部位をテープでふさぎます。
逆に建物の居室内のドアはすべて開放しておきます。
玄関ドアや窓はすべて施錠します。
測定器で、室内の空気を外部に送り出していき、圧力差のある5点(自動計測)での通気量を計測します。圧力差が高い状態で、通気量が少ない場合は、隙間が少ないということなります。
(意図せぬ隙間より外からの空気の流入が少ない)

上記5点のデータを元に、家全体の隙間面積が算出され、それを床面積で割るとC値となります。(小屋裏や吹き抜けがある場合はもう少し計算が複雑になります。)

気密性能測定のタイミングは?

気密性能測定のタイミングは大きく3つのパターンがあります。
1.気密工事完了時(未完成時)
2.完成時
3.両方のタイミングで実施

1.気密工事完了時(未完成時)検査のメリット

気密工事完成時というのは、屋内の石膏ボードなどが貼り終えて、気密処理が完成した状態を言います。
逆に言えば、壁紙や照明やコンセントなどはまだ出来ていない状態です。
この段階で検査するメリットは、気密性能測定をしながら、隙間部分を無くす工事(テープを貼る、コーキングを打つ)が簡単にできることです。
デメリットはその後に、コンセントや照明の穴をあけた際の影響を受けてしまうことです。ですので、正確にC値を測定しようと思うと、完成時にもう一度検査することが必要になります。

2.完成時検査のメリット

完成時に検査しますので、家本来の性能がわかります。
デメリットはこの時に、気密性能の数字が悪いと、そこからの補修作業が難しく、数字を良くするには労力がかかってしまいますのであまり完成時検査をしていません。その点、セキスイハイムは工場生産で大型機械の力と安定した作業環境で生産を行いますので、狂いが少なくC値も大きく差が出ません。ですので、完成時の検査1回となっています。

3.両方のタイミングで実施

両方のタイミングでできればベストですが、当然検査にかかる費用は2倍になります。

未完成時の気密測定

未完成時の気密測定

隙間が発生しやすい箇所

隙間が発生しやすい箇所

3.気密性能の基準値は?

気密性能の基準値は
気密性能の基準値は

住宅の気密性に国は基準を設けていません。
2022年には断熱性能等級の見直しがありましたが、気密に関しては触れられていません。

以前は、寒冷地で2.0㎠/㎡、一般値で5.0㎠/㎡という基準がありましたが、手間やコストがかかるということで廃止となりました。

セキスイハイムでは自主基準を設けており、以下の数字をお客様にお約束させていただいています。※

セキスイハイムの基準
●鉄骨系商品 C値=2.0㎠/㎡以下
●木質系商品 C値=0.99㎠/㎡以下

100㎡(約30坪)の家の場合、どのくらいの隙間があるのか
●鉄骨系商品 200㎠(2.0×100 ハガキ1枚程度)
●木質系商品 99㎠(0.99×100)
となります。

※プラン・床面積・設備仕様によりC値基準が満たせない場合があります。

4.気密性能って必要なの?

気密性能って必要なの?1

気密性が高い家のメリット

①冷暖房効率が高く光熱費もお得
断熱性を表す値にUA値(外皮平均熱貫流率)というものがあります。単純に屋根・壁や窓からどの程度熱が逃げていくのかという数字があります。いくら、断熱性能が高く(保温性が高い)ても、隙間から風が入り込んでくるようでは快適な家とは言えません。北風がビュービュー吹いている中で、いくらセーターを着こんでも暖かくならないように、風を通さない(気密性が高い)ウィンドブレーカーが必要なのは言うまでもありません。

気密性能って必要なの?2

②換気の効率が高く空気がきれい
室内の空気は、換気が必要です。しかし、気密性が低いと計画していた通りに空気が流れず、空気の澱んだ箇所ができてしまう可能性があります。
その結果、二酸化炭素の量が増え、酸素不足となり頭痛や息苦しさを覚えたり、湿気や結露によりカビが発生するリスクが高くなり、そのカビが原因で、健康被害がでる恐れがあります。
その反面、気密性の高い家は計画通りの換気ができて空気がきれいです。

気密性能って必要なの?3

③壁内結露を防いで、住宅の寿命がアップ
隙間から出入りするのは空気だけではありません。空気に含まれる水分(水蒸気)も出入りをします。冬室内の暖かい空気が隙間から外に出ていきます。その途中で冷やされることで、壁の中で結露が発生し、木材の腐食などの原因となります。
その反面、気密性の高い家は隙間からの水蒸気の浸入も少なく、家が長持ちします。

結論:気密は重要!!

気密測定があまり
実施されてないのはなぜ?

気密測定が重要なのはここまでお読みいただいた方にはご理解いただけたのではないでしょうか。
では、なぜ多くの住宅会社で気密測定を実施していないのでしょうか。
これは、「現場で作らざるを得ない」という家の特性に起因しています。
どんなに材料や設計図が優れていたとしても、作る人、環境が変わると完成品の「品質」が変化してしまいます。
気密性は、現場の職人さんの施工技術にも大きく左右されるため、管理が非常に難しい分野です。
また現場毎に検査するため、手抜きやごまかしがききません。手間とコストがかかります。

断熱性を表すUA値(外皮平均熱貫流率)などは図面上で数字が出てきます。(この性能の断熱材とこの性能の窓をつけることで、これぐらい熱は逃げません)
気密性は、測定してみないとわかりません。それだけに企業としてはリスクになりえます。
一方で、気密性が担保されない家を買うことは、お客様のリスクとなります。
(光熱費アップ、健康被害の可能性、メンテナンスコストの上昇)

家づくりに答えや正解はありませんし、おしゃれさやカッコよさも必要ですが、毎日の快適さや健康、家そのものの寿命も考慮に入れて検討する必要があります。